05 なぜ、このような事業を思い当たったのか

5 なぜ、このような事業を思い当たったのか
子どもの貧困をわずかであっても、自分のできる範囲で解決するためです。
手弁当で子どもに勉強を教えている人たちがいます。私はその人たちの行いを尊敬しています。しかし、その人たちの発想には子どもが貧困から抜け出すためには根本的に欠けているところがあると思うことがあります。それは、残念ながら教師商売をしている者の習性として、子どもの成績がよくなれば社会の中で上昇できるという考えがあるからです。確かに相手をしているたいていの子は成績も出席も厳しく、せめて、最低限のことでだけでもやってやろうというのが現実です。しかし、少し成績がいい子がいると大学に入れたがるのです。現実には高学歴を手に入れる、難関校に入る、それで問題は解決するかといえば、運次第としかいいようがありません。高学歴を手に入れるためにはどうしても高い費用・時間・手間がかかります。その負担を考えると高学歴は高収入を期待できるという考えはもうやめるべき時代でしょう。私は貧困から抜け出す鍵は子どもよりも親にあると考えています。子ども相手で問題の解決はむずかしいのです。親の生活をどう安定させるかが本当の解決の鍵のはずです。

私の力はわずかで、すべての場合ですべての問題を解決できると思ってはいません。しかし、私は一つのしくみを提案し実行します。現時点では現在あるしくみを利用するだけではかぎられた人にしか効果はありません。それでも、わずかであっても世の中のしくみを利用して機会をつくることができることを示せば、今あるしくみの運用やわずかな修正でたくさんの人のために機会をつくることができる可能性がわかってもらえると思います。可能性を示すことができればもっと有能な人が取り組みもっとよい方法・しくみを思いつくかもしれません。そのために行動します。

※貧困はなぜ続くのか、なぜ解決の鍵は親にあるのか
一度、貧困のサイクルにはまると抜け出せなくなるのはなぜか。それは貧困は収入だけのことではないからです。ぎりぎりの生活をしているうちに、一度、無力感に沈んでしまった人がまた活気を取り戻すことはむずかしい。気力を失ってしまった生活のもとで育った子どもが自力で運命を切り開いていこうという気力を持つことはなおさらむずかしい。
子どもに対して財産を残すというと現金・不動産と考えがちですが、子どもにとって一番の財産は親のぶれない生き方です。金やモノは使えばなくなりますが、気力や自立心といった形のない財産はけっしてなくならないのです。しかし、形のないものは自分たちで作るしかありません。貧困の一番のきびしさは将来を見失わせ、形のない大切なものを失わせることにあるのでしょう。

※シングルマザーだけ?
絶対に子連れでなければだめなわけではありません。自分の力で立とうと思う人は手助けしたいと思います。ただし、立場の苦しい人から優先します。

※なぜ、子連れ優先か 私のターゲットは子どもたち
一度、貧困におちいるとうまくいっても子どもが不利にならないスタートラインに立つためには2世代かかります。親が貧困であれば当然子どもも貧しいわけです。それだけではありません。貧乏は人の気力をもそぐのです。その子どもが努力して貧困から抜け出してやっと孫の代になってハンディキャップがなくなるわけです。ところが、親が気力でも収入でも自立できれば子の代で克服できます。金で自由を買うことはできないが、金がなければ人は自由になることはできません。親の自立がなければ子の自立も難しいのです。金だけではありません。子の自立のためには金以上に大事なのは親に自分の未来を開く気概があるか、学ぶ習慣があるかということです。親が学べば子どもは少なくとも学ぶことが当たり前だと考えることでしょう。
私にとって本当のターゲットは子どもが貧困に立ち向かうことです。子どもの自立のためには、親が自立することです。そのため親が子のための犠牲になることもいけません。自分も自分の人生を生き、子も自分の人生を生きるのです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする