9 資格をとるためには②
◎資金モデル(合格時点と入学後)
日本では生活保護者の就学についてはものすごく厳しい扱いを受けます。十分な収入を手に入れるためにはそれに応じた訓練が必要なのですが、日本の生活保護制度では一度生活保護をうけるとなかなか抜け出ることができません。特に子どもがいる家庭では正規採用されることがむずかしいという現実があります。職業安定所の職業訓練を受けても受けている間給付があるだけで、正規採用されるような技能・資格が身につくわけではありません。結局生活保護に頼らない生活をしたくてもそうなりません。
生活保護水準、それ以下にありながら歯を食いしばり生活保護受けないで働いている女子が、生活保護を受けている女子に対してネット上で罵声をあげているのをよく見聞きするのですが、同じく困っている者同士がいがみあっているのを見ると涙がこぼれてくるような思いがします。せめて現在の制度でも自立の意思を持った者に対してだけでも援助する方法ぐらい考えればいいのです。合衆国では教育ローンは無審査のかわり破産免責できないないしくみのようです。これはこれで問題がないわけではありませんが、意思のある者に対しては積極的に機会を与えようという考えはくみ取れます。
私がこのような事業を考えたのはイギリスの失業者訓練制度を知ったことにあります。イギリスでは失業者に訓練を受けさせ就業を請け負う会社が認められています。会社は失業者の訓練を請け負うと決まった額の費用を税金から受け取ります。本人が就業して決まった期間がたつと、会社は税金から割り増しの報酬を受け取ります。確かに利益をあげるためにしているわけですが本人に寄り添おうとする態度は励ましになると思います。
求職者の実態に沿った職業訓練制度を作るように運動するのも一つの考え方ですが、今すぐ効果が出るわけではありません。私は現在できることを利用して自力で立ちたいと思う人の手助けをしたいと思っています。
※注意 奨学金や福祉援助金には二度申し込みができないものがあります。
A 自己資金があるが借り入れが必要な人
合格の時に払い込む費用と自分で生活費だけでも負担しなくてもよければ、病院奨学金で授業料は相殺できます。ただ、よほど能力に自信がなければアルバイトはしないほうがよいでしょう。特に病院実習が始まったらできるだけ専念したほうがいいでしょう。交通費・雑費が必要であれば病院で週一日パートの看護助手をすればある程度の収入になります。他の職種より現場に慣れるという点では多少のメリットがあるでしょう。
B 生活保護家庭、自分が世帯主の場合(基本:ケースワーカーに相談) 入学までに生活保護から外れる必要がある
入学費用 貯蓄、または、入学後の貸付を原資に借りる
※行政の貸付制度があるが、どうなっているかは直接たしかめるしかない
半年分の授業料はたいてい前払いなので半年分の奨学金は借入れ返済に使える
学費 病院の奨学金(就職して契約年限まで勤めれば返還免除)
生活費 母子・父子・寡婦福祉資金(無利子 習得期間の間返還据置)
技術習得資金 月限度額6.8万円
生活資金 月限度額14.1万円
※学生支援機構からの借り入れは微妙、しかも、入学後の採用手続きとなる
C 生活保護家庭、自分が世帯主ではない場合(基本:ケースワーカーに相談) 入学までに世帯分離が必要になる
入学費用 世帯の事情によっては政府系金融機関からの教育ローン借入れ可能性あり(金融機関に相談)
生活費 学生支援機構貸付(入学後手続き、無利子最大月額12万円・有利子最大月額5万円)
※学生支援機構は学校からしか手続きできない。出身高校か入学先の学校。ただし、高校卒業後3年以上たつと予約奨学生不可。奨学金支給までのつなぎ融資が必要