ストレスとはよくないものなのか? 

#1 必要なのはストレスフリーではなくコントロールすること

普通にいわれてことでは「ストレス」はよくないものだとされています。

しかし

ストレスがない環境などありません。

だから

生きものはストレス込みで作られています。

むしろ

ストレスがないと生きものは生きていけないのです。

The American Institute of Stress (「アメリカストレス学会」とでも訳せばいいのでしょうか)によると

ストレスとは ”the non-specific response of the body to any demand for change” だそうです。

「変化への要求に対する体の非特定的な反応」です。

要は

「変化が必要なとき、ストレスが引き起こされる」ということです。

「外からの刺激が体に加えられた結果、体が示した変化」という風に定義しているところもいくつかありました。

つまり

生きものにとっては自然な現象なのです。

逆にストレスがないとはどのようなことなのでしょうか?

1950年代にDonald Hebbという心理学者らによって「感覚遮断」という実験がおこなわれました。

外からの刺激を一切排除したら、人はどう変わるかの実験です。

被験者は防音室に入り、食事とトイレ以外はベッドで横になったまま過ごさせられたそうです。

(ほかにも手足を覆うなどもされました)

被験者たちを6週間ほど、観察する予定でした。

ところが、数日ももたなかった。

被験者ほぼ全員が物事をまともに考えられなくなり、そして幻聴や幻覚が起きた人もいました。

「ストレスがない」ということは「外部からの刺激がない」ことであり

人間と言うよりも生きものは

正常に生きていくためには、ストレスは必要なのです。

ストレス「自体」に、良いも悪いもないのです。

意味づけをしているのは私たちです。

良いか悪いかの違いがあるとすれば

ストレスのあるなしではなく、ストレスへの対処方法です。

でも

ストレスをうまく処理できないと、精神そして体に悪い影響を及ぼします。

特に

子ども時代に適度なストレスがなければストレスに対する耐性がつかないので

ちょっとしたことで挫折して立ち直れなくなる大人になりやすいのです。

適度なストレスによって、ストレス耐性をつけることも大切なのです。

ですから

成功する人としない人の違いは

積極的にストレスをよい方にコントロールするか

ストレスをどんどん解消できずに心身をやんでしまうかなのです。

実はわたしは普段ストレスを上手にコントロールすることは得意ではないのです。

だから逆に

心の持ち方でどうにでもなるという考え方をしません。

受験生にとって必要な範囲のストレスに耐えことをしないわけにはいきません。

特に自分の生活を抱えたオトナ

子どもの世話もしなくてはならないオトナにとってはなおさらのことです。

これを心の持ち方ではなく

ストレスをよい方向に向けるという技術をもつ必要があります。

これは技術ですから訓練できます。

受験トレーニングでは(当然オトナの受験ではなおさら)

このことを含めて対応することが必要です。

わたしはそれも含めてオトナの受験手助けのしくみを作っています。

#2 なぜストレスを感じるのか? 生き物が環境適応能力をもつためです

前回「ストレスとはよくないものなのか? 必要なのはストレスフリーではなくコントロールすること」の原稿を書いていて気づいたのですが。

ストレスの定義から考えると

「ストレス」はそのまま「環境適応能力」を指すことになります。

生き物は(当然、植物を含めて)環境適応することで生きていく

そして、子孫に種(しゅ)を伝えていくことができます。

(あえてDNAとは言いません。DNAで語れるくらい生物は単純なものではないのです)

いま私たちが日常的に使っている「ストレス」という言葉はもともと

工学、物理の分野で物体に力が加わった時に生じる「ひずみ」を意味する言葉でした。

たとえば、ボールを指で強く押すとへこみます。

このへこみを物理学でストレスといっていたのです。

これを医学の領域で最初に用いたのが、カナダのハンス・セリエ博士です。

いってみれば、物理学の考え方を生物学に使ったわけです。

工学ではストレスを放っておくと

変形・破壊などの原因になります。

生き物も(当然人間も)外部から力や刺激が加わり

「ゆがみ」をそのままにしておくと悪影響が起きるのです。

でも

物質と生き物が根本的に違うところは

生き物は変化するということです。

ですから

環境が変化するかぎり

生き物にとっては生き残るためにストレスはよいことであり

ストレスは生き物の環境への対応を手助けしてくれるものです。

生き物は変化するから生き物です。

特に

人間は自分で意識しながら環境を変えることができます。

外の環境(社会や物事)と

内の環境(自分の心と体)です。

ストレスは適応のための道具とも考えることもできます。

ストレスを受け身で考えるのではなく

自分を変えるための信号として捉えていくことが大切です。

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