英語が不得意なあなたが学ぶためには まず、慣れることから

§1 不得意でも、まず、怖がらずに慣れることです 発音と音読から始めましょう

わたしの英語の基礎練習の仕方は次のコラムにかいてあります。
英語ができない人は 発音と音読から始めましょう まず、怖がらないことです
https://ameblo.jp/otona-no-manabi/entry-12574307047.html

ここで取り上げるのは大人が資格を取るために医療の学校にはいることに絞っての基礎練習の仕方です。
准看護学校は英語がないのが普通ですが
一部で看護学校と同じ科目の試験をするところもでてきています。
その場合は英語が必要となりますので
受験校を選び時にはよく考えないといけません。

よく入学試験で医療の英単語が出るという話を聞きます。
一部の看護学校ではそんなところもあるかもしれませんが
実際には特別な単語は注釈が入りますので気にする必要はありません。

ただ
気にしないといけないかもしれないのは
体にかかわる単語で日常当たり前に使われているが
日本の学校英語では使われていない意味があるときです。
「body」のようなケースです。
普通の学校英語で絶対使われることがない使い方です。
何を指しているか自分で調べてみてください。

わたしが英語のトレーニングをするときに一番困るのは
他の教科と比べても個人差が大きく
しかも
数学と違って短い時間で上達がむずかしいことです。
(数学は特別にレベルが高くなければ本気であれば結構どうにかできます。
というか、そのノウハウはあります)

英語はどうしても時間をかけることが必要です。
ただし
今、新共通試験で話題になっている四技能(Reading、Listening、Speaking、Writing)のすべてを身につける必要がないことが救いです。

特に
英語が全くできない(自信のない)人はどこから始めればいいのでしょう。

まず
無条件で慣れることです。
外国語を学ぶとは慣れることです。
慣れるための一番いい方法は
言葉を発音することです。
次に文を音読することです。
ヘタでもかまいません。
その言葉がもっている感覚に近づくことです。

確かに
これは受験にはあまり出ません。
(言葉のアクセントや文のイントネーションの問題で出るかもしれませんが)
それでも
不得意な人が言葉に慣れ、自信を持つためには一番近くて合理的な方法なのです。
慣れていくうちに自然に文の形(それが文法です)が身についていきます。
読む量が多ければ言葉(単語)を覚える練習にもなります。

仕事や生活に追われながら受験勉強をするのは大変です。
大変であっても習慣を作っていけばいいのです。
そして
それが入学後の助けになります。

具体的な練習方法ですが
①言葉の発音を学ぶための方法として「phonics」があります。
②文の読み方の練習として「なみのリズム」という練習方法があります。
これは直接native speakerに頼らない
自学自習のために作られた合理的な方法です。

わたしが目的としているものはnative speakerのようになることではなく
最低限の自信をもつために英語に慣れることです。
そのために発音と音読は一番速く効果が目に見えます。

①②をやって
拒否感さえなくなればあとは普通に基礎の英文の練習をして
あなたが受験する学校のレベルまで能力をあげればいいのです。

そして
最後に過去問題で自信をつければいいのです。
ここまでやれば入学後英語が必要でなくても
あなたは自分で不得意なことをクリアしたのですから
学んだことが入学後の学校での訓練に役立ちます。

§2 フォニックス(Phonics)をするなら『あいうえおフォニックス』を薦めます

わたしは英語(日本の学校で教えているもの)は
Englishと違った考え方の上に成り立っていると考えています。
そこに日本の英語がどれだけ高度になってもEnglishになれない理由があります。
その理由は追々説明していきますが
日本の学校教育でPhonicsを無視していることなどはその最たるものと考えています。

Phonicsとは単語のスペリングと発音を結びつける練習をいいます。
われわれが日本人だから英単語を発音できないのではなく
実はEnglishはnative speakerでも最初はスペルを見て発音できないのです。
ですから
まず、子どもがEnglishを読むためには大変大事な練習になります。

日本人が冒す最大の勘違いは正しいEnglishがあるという考え方をすることです。
現在、Englishを話す人、学んでいる人は20億人ぐらいと考えられています。
そのうち第一言語として話す人は4億人ぐらいです。
そうすると現在Englishを使う人の80%は外国語として使っていることになります。

圧倒的に多くのEnglishを使う人は正しいかどうかわからない(確信をもてない)上で使っているのです。
(自分が生まれ育った言葉ではありませんから何が正しいかという判断がむずかしい。
それでも〇国では自分のEnglishは世界一正しいと堂々と言ったりする人もいますが)

加えて
native speakerであっても米語・英語・豪語にははっきりした違いがあります。
今時「King‘s(Queen’s) English」が唯一正しいなどと言う人もいないと思います。
すでに、どこでも正しいEnglishなどないということです。

ですから
自分が生まれ育ったEnglishを除いて正しいものがあるという考え方自体に意味がないのです。
(誰だって自分の母語が正しいと思っています。それでも方言という問題はありますが)

そうすると
日本語で育った日本人が使うEnglishはもともとJapanese Englishなのです。
だから
多くのEnglish話者に受け入れてもらえるEnglishであるならば
最初から母語とは違うものですから日本流として堂々と使えばいいのです。
実際、ある大学教授の個人的なアンケートでは非native speakerの間ではJapanese Englishが一番聞き取りやすいという結果だったと聞いたことがあります。
すでにEnglishが世界言語である理由はnative speakerだけの言葉ではなくなっているという所にあります。

わたしが『あいうえおフォニックス』を薦める理由としては「(幻想の)正しい発音」にこだわることなく
日本語のくせがあっても通じるなら堂々と使えばいいという考え方をしているところにあります。
(これがないから日本英語はどれだけ高度なものでもただの真似でEnglishの内の一つにはなれないのです)
その上でよい発音(判別できる発音)とは何かということを追究しています。

効率よく練習するためには本になっているもの(株KADOKAWAが出版)を使った方がいいと思いますが
YouTubeだけでも練習が出来ます。
YouTubeのサイトで「あいうえおフォニックス」で検索すればすぐ見つけることができます。
それも薦める理由です。

§3 フォニックスだけではまだ発音には不十分です リズム音読「なみのリズム」に注目

広い意味でのフォニックスは単語の発音も含みますが
本来の意味でのフォニックスは母音・子音の発音と綴りを結びつける練習を指します。

実際のEnglishの感覚がなければ
母音と子音が発音できればこれで単語の発音ができると考えるのは当たり前です。
もう少し知識があると
そうか日本語とはアクセントが違うのか!
と考えますが
アクセントを合わせても
それでもまだEnglishにはなりません。

これは実際のEnglishをマネしつくして身につけるか
(何となく違いを感じても体験だけではどうすればいいのかわからない人も多いのですが)
それとも
音声学(発音のための学問です)で理論的に極めるかしかありません。
Native speakerだからといっても意識できていないことがありますから
Native speakerに学んだからといってわかるわけでもありません。

では、何が足りないのか?
辞書を見てください。
単語を区分けしてあるのが分かると思います。
その分けてあるものを一つ一つを「シラブル」と言います。
シラブルは日本語でいえば「音節」、単語をさらに分ける単位です。

日本語では音節の基本は子音+母音でできています。
拗音のように子音が重なる場合もありますが
基本、「子音+母音」の一対一が1セットの音節になり
大体は一つ一つの音節を同じリズムで発音していくことになります。
たとえば
「こんにちは」は こ(ko)・ん(n)・に(ni)・ち(ti)・は(wa)となります。

ところがEnglishではシラブルのリズムが日本語よりも複雑になります。
たとえば
「permit」 は per・mit つまり、2音節から
「important」 は im・por・tant  3音節から
「spring」は1音節からなる語
という風にです。
(正確には日本語の音節とシラブルの考え方には違いがあるようです)

そして
日本語の音節との違いは
Englishでは1シラブルが何文字であっても1シラブルどうしを同じリズムで発音します。
例で言えば「important」の「im」と「spring」は同じ1音節でも文字数がちがいますが同じ時間(リズム)で読まなければなりません。

これができなければ
どんなにEnglishらしい発音ができてもEnglishには聞こえないのです。
これができただけでも発音する子はものすごくEnglishらしく発音ができた気になります。

当然
日本人がこのシラブルの特徴を知らなければ聞き取るときにもハンディキャップになります。
特に子音が消えることが多い米語では非常に聞き取りに困ります。

このことは体験的には気づいた人たちがいたはずですが
はっきりと気づいて意識して英語教育に取り入れたのは
高校・大学で英語教育にたずさわった
寺島(隆吉・美紀子)夫妻です。

英語教育が専門ではないわたしが
英語の受験トレーニングをどんな立場で行うか考える時に
夫妻の仕事には大変助けられました。

寺島夫妻のことはさておき
実際にはシラブルはアクセントと結びついてEnglishらしい発音になります。
わたしが知っているかぎりでは
それを含めた一番実際的な練習方法が
「なみのリズム」です。
http://naminorism.com/strength_rhythms/

このトレーニング方法を開発したのは
岡山で「英語のlearning design」をやっている「かみじょうあさこ」さんです。
英語のlearning designとは聞き慣れないことばですが
「英語の学習法の全体像を伝え、生徒さんのレベルや資質に応じた学び方をデザインし、実践していくお手伝いをすること」だそうです。
上達したい人は一度訪れてみる価値があるサイトです。

わたしはトレーナー・コーチとしては
自分の限られた力に頼るよりも
日頃から
十分な力がない子のための
目的に応じたいち番合理的な上達法・
一番取り組みやすい方法がないかを探し回って
それをどう役に立てれば一番効果的なのか考えています

§4 伝わる発声(発音)とは 日本人が学ぶ必要がある英語(English)とは

ここで話がしたいのは
専門にEnglishを学ぶことができない人が何を目標に学べばいいのかということです。
(わたしはたいてい、英語は「学校英語」、実用で使われているものをEnglishと呼びます)

学校の教師や専門家は勝手に暴走するものです。
自分の教科・専門以外を考えずに、分からずに
自分の専門のレベルだけをどうのこうの言う人が多いのです。

現在、学校英語ではレベルの高い4技能(読む・書く・話す・聞く)を目標にすることになっています。
でも
考えてみてください。
すべての人が高いレベルの英語を学ぶなんて正気の沙汰ではありません。
個人個人の能力がどうかという前に
必要以上の高いレベルを学ぶ前に
その子その子がやらなければならないことがあります。
世の中すべてが英語の専門家になるわけでもないのです。

数学、化学、スポーツ、職業訓練・・・ いろいろあります。
すべての人がレベルの高い英語を身につけることができるわけでなないし
身につける必要はありません。

でも、できるならやっぱりできたほうがいいものです。
確かに今の時代必要なだけはできた方がいいでしょう。
大事なのはそのために労力・資源・能力をどう活かすかということです。

労力と資源の使い方を大学の入学試験を例に考えてみましょう。
100点満点の試験で
50点までに点数を上げる労力と
50点を70点までに上げる労力
70点から80点までの労力
(80点以上を取るためには才能が必要です)
はほぼ等しいのです。

つまり
ほぼ完全である80点まで能力を上げるためには
普通(50点)のレベルまで上げるための3倍の労力がかかります。

ですから
このことを頭に入れて考えると
学ぶ必要を感じていても十分な時間・努力ができない人は
目標の設定の工夫、労力・資源の配分で
目的に必要なレベルを手に入れることができます。
英語で80点を目指すよりも
もっと、点数が取れていない教科に力を入れればいいのです。
(ただし、点数が取れていないのですから、これにはコーチ・トレーナーの力を借りる必要があるでしょう)

最初の話題に戻りましょう。
外国語を学ぶとことは単純に言い切ってしまえば
習慣を身につけることです。

だから
「努力×才能×経験」になります。
外国語学習はどこにいても「努力×才能」は使えますが
経験はその言葉を使っている所で積むしかありません。
(特に「正しい」言葉を目指すとすればなおさらです)

じゃ、日本で普通に学ぶとすればどうすればいいのか。
わたしの元同僚の英語教師に
高校生の時米国のハイスクールで学び
日本で大学を卒業した人がいます。

わたしは彼のEnglishの発音に感心していました。
ものすごくきれいでペラペラなのかって
いや、全く逆なのです。

発音もあまり外国語らしくなく
どちらかと言えば日本語の発音なのです。
しかし
リズム・イントネーションがEnglishなのです。
そして
非常に聞き取りやすいのです。
きっと
Native speakerが聞いてもよく分かると思います。
実際、以前それで生活していたわけです。
わたしはこのあたりに外国語を学ぶときの核心があると考えます。

これは外国語を身につけるのには
特に第二言語であれば
完全なコピーを目指さなくても
伝えるために必要なポイントを目指せばよいということです。

学び方の研究をする人
学ぶための道筋をつける者の能力とは
よりレベルの高い訓練方法を目指すとともに
その余裕がない者のために
不完全であっても通用するために最も大事な部分を見つけ出すことです。

多くの人は専門家になるために学ぶわけではありませんから
基礎になる部分こそきちんと訓練するのです。

わたしは英語教育が専門でもないし
はっきり言えば外国語は不得意です。
それでも
初心者、できない人が必要な目標をクリアするための手助けはできます。
たしかな基礎になるもの
合理的で有効なトレーニング方法は
専門家であるよりも非専門家の方が見えることもあるのです。

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