なぜ方程式で「移項」ができるのか 簡単なことだといって説明されていないことがよくあります

数学(代数)の基本の基本は方程式(式の取り扱い)です。
方程式を解くときに一番大切なのは「等式」の性質をよく知り、取り扱い方をよく練習することです。

特に
「等式の性質」をよく知り「式変形」に慣れることは文字式の基本中の基本です。
「式変形」ができなければそこで数学は終わってしまいます。

その中でも「移項」は一番基本でありながら
移項なんて簡単すぎることだから理由なんてどうでもいいことだと無視されるのが普通です。

でも
初心者が基礎を身につけるために練習するとき
頭がパニックになったときに立ち直るためには
基礎の基礎を頭(理解)と体に覚え込ませる(練習)ことが大切なのです。

ほとんどの教師が=(等号)の反対側に数・文字を移すときに符号(±)が反対になる
という説明だけでその理由を説明することはありません。

生徒もなぜそうなるかではなく
ただ言われたからそうに違いないと覚えるだけです。

賢い子は疑問をもたずに教師の言うとおりに繰り返し身につけます。
賢くない子はよくわからなくても黙っています。

移項の原理は次のようなものです。

a=b ならば =をはさんだ両辺に同じ数字を加えても引いても
両辺が等しいことは同じです。(方程式の基本性質)

a+c = b+cとなります。

だから

a+c = bのcを移項するとき

a+c = bの時に両辺から同時にcを引きます

a+cーc = bーc

整理すると a = bーc となります。

途中の説明を省き=の反対側に移項するときは符号を逆にすればいいという結果だけが説明されます。
もともと数学はこのような当たり前のことを地道に積み上げた結果が高度な考えや複雑な式になったのです。

以前
看護学校受験で数学の教員と議論になったことがあります。
看護学校入試の数学はたいてい「数学1」だけか、加えて「数学A」が範囲になるのですが
たいていの入学試験の大問(4~5問)のうちで二次方程式と二次関数が出ます。

ですから、わたしは必ずその日の数学の練習の最初に
「二次方程式の解の公式」と「平方完成の式」を自分で導き出すおさらいをすることを指示しています。
(5分で終わります)
導き出す過程がそのまま問題の解法になることがあるからです。

しかし
その数学科の教員は公式を覚えておけばそれで十分だ
練習問題で公式を使う練習をすればいいから不必要だという考えでした。
実際その方が効率的かもしれません。

でも
入学試験というものは頭が真っ白になることもあるものです。
どんな時でも役立つのは基本に戻ることです。
生活のときでも身についた基本は意外なところで役立つものです。

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